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「大我さん、ベッドのところのテーブル、出しても?」
ベッドにまたがるように設置された長細いテーブル――オーバーテーブルを指差すなっちゃんに、「もちろん」と応えると、鶴見先生が「狭くてすみません」と言って。
その表情からは、先程までのどこか仄暗い陰は消えていて、いつものにこやかで穏やかな同僚の鶴見先生だった。
個室ではないけれど4人部屋なので、大部屋ほど窮屈ではない。
とはいえ、カーテンで仕切られた空間に大の大人が4人は結構ぎゅーぎゅーで。
***
なっちゃんと2人で、袋の中からひとつずつコーヒーをテーブルに出す。
「皆さん、内緒話はすまれました?」
各々にカップが行き渡ったのを確認して、なっちゃんがそう言って、クスッと笑った。
「内緒話ですか? はい。すみましたよ。僕は今、撫子と付き合っていますので僕が居ないからって手を出さないでくださいねって霧島先生に釘を刺させて頂いていたところです」
なっちゃんにニコッと笑いかける鶴見先生に、温和が「は? それ、逆でしょう」と応酬する。
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