幾久しく

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 花嫁の私よりも温和(はるまさ)のほうが気合いを入れて選んでくれた気がする純白のウェディングドレスは、プリンセスラインの袖付デザイン。  ヴェールも付けるんだから大丈夫だよ?ってさんざん言ったのに、露出はなるべく少ないのが良い、ノースリーブより袖のあるデザインのほうがお前には似合うはずだと譲ってくれなくて。  真夏の挙式なのに、レースとは言え(ひじ)の辺りまで布地に覆われたドレスになってしまった。  最初は「えー」って思ったけれど、衣装合わせに来たお母さんもお父さんも、ついでに言うと温和(はるまさ)のご両親も、温和(はるまさ)が選んでくれた今のドレスが一番私に似合っていると口を揃えて。  私自身、実際試着してみたら吊るされていた時とはイメージが全然違っていて、袖ありも可愛いなって思ったの。  悔しいけれど、温和(はるまさ)は私に何が似合うのかを、私自身より熟知している気がして。 ***  同様に、カラードレスも温和(はるまさ)チョイスのパステルピンクのハイウェストで、やはりパフスリーブの半袖付き。  そんなに背の高くない私には、ウエストの位置が高めの方がスタイルがよく見えるのだと温和(はるまさ)が言って、スタッフさんもよくご存知ですね、と感心しきりだった。
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