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「なぁ、素直な音芽に俺、お願いがあるんだ」
胸からのジンジンとした甘いしびれに恍惚としていたら、温和がまるで私を現実に引き戻すみたいにそう言って――。
「……おね、がい？」
温和の“お願い”が、“命令”と同義だと認識したのはいつだっただろう。
思いながら恐る恐る温和を見上げたら、彼が下着の中から硬く張り詰めた自身の屹立を取り出した。
それをゆるゆると自らの手で見せつけるみたいに擦り上げながら、言うの。
「さっき俺の指にしてくれたみたいに、ここも舐めて？ 音芽、そういうのしたことないだろ？」
言われた言葉の意味が分からなくて、「え？」とつぶやいたら「ほら、前にしてくれようとして、やり方が分からなくてお前、断念したことあっただろ？ 俺、いつかちゃんと教えてやるって話したじゃん？」って。
確かにそんなことが……あった。
でも……あの時は私も気持ちが昂っていてどうかしていたの。
して？と言われておいそれと出来るようなハードルの低い行為ではないと思うんだけど、な？
「……あの、でも……はる、まさ……」
どうしていいか分からなくて視線が泳いでしまう。
と、私の胸を這っていた手が、ゆるゆると首筋をなぞるように上がってきて、やんわりとあごにかけられて上向かされた。
「今、がその時だよ？ 音芽。――俺が教えた通り、ちゃんと出来るよな？」
チュッと口付けられて、私は温和の術中にはまったみたいに「……はい」とうなずいていた。
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