Epilogue

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*** 「名前、考えてくれた?」  夕方――。  病室で、おっぱいを飲ませ終えたばかりの娘をたて抱きにしてゲップをさせていたら、温和(はるまさ)がお見舞いに来た。 「ひとつだけ」  温和(はるまさ)がそう言って、小さな紙切れを差し出してくる。  折り畳まれたそれを広げてみると、真ん中にポツンと「和音」と書かれていたの。 「和音(わおん)?」  そんな犬の鳴き声みたいな名前にするの?ってソワソワしたら、「バーカ。和音(かずね)って読むんだよ」って言われて。 「かずね……」  つぶやいたら……「どう? 霧島(きりしま)和音(かずね)。悪くねぇだろ?」って、言葉とは裏腹に不安そうな顔で見つめられる。  音楽絡みの名前ばかりの鳥飼家(とりかいけ)。  温和(はるまさ)の名前と私の名前から1文字ずつ入れて……音楽まで絡ませたこんな素敵な名前が出来るなんて……思いもしなかった。
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