■呼び出し!?/オマケ的SS②-1

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 どうするよ、と迷った俺は、和音(かずね)も一緒だし……と思って「迷子センター」に向かうことにした。  そこで事情を話して……〝和音(かずね)の〟呼び出しの放送でもかけてもらおう。  そうすりゃ音芽(おとめ)も一緒に来んだろ。  音芽は結構な方向音痴だが、和音(かずね)が生まれてからはこのショッピングモールの“迷子センター”の位置しっかり頭に叩き込んでいる。  俺が一緒にいないとき、万が一があったら……と2人で話して覚えさせた。  そこになら何処にいたって辿り着けるはずだ。  よし!  そう思って歩き出した俺の耳に、ピンポンパンポーンという、ドミソドの音階に則ったコールサインが聴こえてくる。  次いで、「迷子のお知らせです」と言う女性の声が流れてきて。  ま、こんだけ人が多けりゃな……と自分の現状を棚上げして思った俺だったが――。 「○○市からお越しの霧島(きりしま)温和(はるまさ)さん、お連れ様がお待ちです、至急B館1階迷子センターまでお越しください」  とかっ!  なんで俺!!  おーとーめぇー!!!って思ったけれど……多分これ、和音(かずね)の入れ知恵だ。  普通「お客様のお呼び出しを〜」のところが「迷子」になってんのも和音(子ども)の浅知恵っぽいし。  歳の割にやけにませた(こまっしゃくれた)ところのある娘だ。  奏芽(かなめ)に月1で預けてる影響かも知んねぇけど、今はそんなことどうでもいい。  スマホの電池が切れていることを思いっきり呪いながら、俺は懸命に人混みをかき分けて「迷子センター」を目指した。  この館内放送、知り合いに聞かれてませんように!と祈りながらっ!  あまり遅くなったら……また呼び出されるかも知れねぇだろ?      END(2020/08/29)
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