■呼び出し!? Another side/オマケ的SS②-2

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 兄の奏芽(かなめ)も子供の頃から、普段は無駄遣いをしないでおいて、欲しいものが出来ると惜しみなくお金を放出する人だった。  思えば、その欲しいものにしても、自分が、というものばかりではなく、私が好きそうな物さえも気前よく買ってくれるような人で。  幼い頃、毎年誕生日になると欲しいと思っていた文房具やマスコット人形が机の上に置かれていたりしたのをふと思い出す。  お母さんやお父さんに聞いても知らないと言われるそのプレゼントが、実は兄からのものだったと知ったのは、ずいぶん大きくなってからだった。  真相を知ってからも、普段は意地悪を言って泣かせてばかりの妹に対する兄からのささやかな罪滅ぼしかしら?と思っていたのだけれど。  実際はそういう意味合いですらなくて、単なる純粋な愛情表現だったのかもしれないと思えるようになったのは、恥ずかしいけどここ数年のことだったりします。  多分お兄ちゃん自身も、昔より随分愛情表現がわかりやすく(ストレート)になってきたからじゃないかなって思うの。 ***  レジで無事お会計を済ませた和音(かずね)が、リュックに買ったばかりの品物と、お財布を戻しながら「あれ? パパは?」と聞いてくる。 「え?」  私の後ろに――。そう思いながら振り返ってみるといなくて。  そういえば――。  和音(かずね)のことに夢中で有耶無耶になってしまっていたけれど、温和(はるまさ)、何か言ってた気がする。  でも、何て言ってたの?
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