■瞳の中に映る虹/オマケ的SS③

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 結婚して8年。  温和(はるまさ)と結婚するまでは、夫婦なんて3年を過ぎたら倦怠期が訪れて、それを乗り越えたふたりも、大抵はラブラブな雰囲気なんて薄れて、「家族(くうき)」になっていくものだとばかり思っていた。  いないと困るけど、非日常とは対極にある、あって当たり前の存在。そんな関係に――。  でも、温和(はるまさ)といるとそんな風には多分一生ならないんだろうなって思えるの。  おじいちゃんとおばあちゃんになっても、私はきっと、予測不能なことばかりしてくるひねくれ者な温和(はるまさ)に振り回されて、毎日ドキドキさせられっぱなしなの。 ***  卵が焦げないように火を止めて、私はゆっくりと背後の温和(はるまさ)を振り仰いだ。 「もぉ、困った人……」  腰に回された温和(はるまさ)の腕に軽く触れてそう言ったら、当然のようにくるりと向きを変えられて、「嫌いじゃないだろ?」って言葉とともに唇を奪われた。 「……、んっ」  和音(かずね)がいつ起き出してくるか分からないこの状況での艶めいた濃厚なキスに、私は戸惑いを隠せない。  キスの合間を縫うように「はるま、さっ、和音(かずね)、がっ……起きてきちゃ、っ」と抗議してみるけれど「見られても構わねぇだろ。夫婦なんだし」とか……本気で言ってるの? 「父親と母親が仲睦まじい姿を見せることに何の躊躇いがあるんだよ?」  と耳元でうそぶかれて、私はぞくりと身体を震わせる。 「で、でも……」  と言い募ったら――。
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