■路地裏のいけない2人/オマケ的SS④

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 今日は10時頃から和音(むすめ)奏芽(かなめ)に預けて、1ヶ月ぶりに音芽(おとめ)と恋人同士の時間が過ごせている。  今俺たちは、結婚してちょうど3年目。  世間的にいうと倦怠期(けんたいき)とかいう厄介なやつに見舞われる頃。  人間ってやつはどうも“3”という区切りごとにそういう危機に直面しやすくなるもんらしい。  例えば恋人同士なんかだと、付き合い始めて3ヶ月目がヤバイとか、結婚した夫婦だと3年目がヤバイとか……そんな感じ。  要は相手への慣れでときめきが薄れたところに、細々と溜まった不満や鬱憤が確信に変わって爆発する時期なんだろう。  けど、俺に関して言えば……うちの嫁はいつまで経っても可愛いとしか思えねぇし、その可愛さに慣れるとか絶対無理だと想う。  唯一不満があるとすれば、幼い娘――来年の1月で2歳になる――の世話で(ないがし)ろにされることがあるのが寂しい程度。 ***  結婚してから何となくワガママ言って伸ばしてもらっている髪の毛も、幼い頃から彼女のボブしか見慣れていないからか、やけに新鮮でドキドキさせられる。  逆に、どうやったら音芽(よめ)のことをもう少し冷静な目で見られるようになるのか教えてもらいたいくらいだ。  ただ、音芽が俺に対して同じように思ってくれているか?と聞かれたらそこはやはり不安で。  俺は要所要所で音芽の気を引こうと必死だし、子供は1人でいいと思ったのだって、音芽といつまでも「男と女」でいたいからだ。
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