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背の低い音芽を、20センチばかり上から見下ろす形になっている俺には、音芽が胸元を引っ張るたびにチラチラと下着が見えていたりする。
(あんま煽んなよ……)
とか思いながらも、眼福なので「見えてるぞ」とか無粋なことは絶対言わない。
他の男に見られるかも知れないってんなら話は別だが、幸い路地裏のこの道はひっそりと静まり返っていて、俺と音芽しかいないんだ。
この近くにホテルとかなかったっけ?とか思う程度には、俺はまだまだ“現役”だから、この音芽の無意識の挑発、本当そそられるんだよな。
奏芽から与えられた2人きりで過ごせるデートの日だけど、それが子供を気にせず音芽を求める日になったって別に構わねぇよな?って言ったら、音芽はどんな反応をするんだろう。
***
今日は選んだコース料理に焼きたてパンがおかわり自由で付随するベーカリーレストランで、音芽と一緒に昼食を摂った。
音芽は彼女の握り拳ぐらいしかない小さなパンが焼き上がるたび、次はどれにしようかと瞳を輝かせて――。それが控えめに言ってもすっげぇ可愛くて、俺的にはパンよりお前を食いたいわ、って感じだったんだよな。
思えば今日はずっと俺、音芽に誘惑されっぱなしじゃん。
よくここまで理性、保ててると思うわ。
俺、偉くね?
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