■路地裏のいけない2人/オマケ的SS④

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***  と、狭い路地なのに、後ろから乗用車が入ってきたらしく、エンジン音が近付いてきて。  俺たちがいるというのに、お構いなしに猛スピードで走ってきた車に、俺はすぐ横にいた音芽を抱き寄せて壁際に押し付けた。 「ひゃっ」 「(あっぶ)ね」  急に手を引かれた音芽が、びっくりしたように俺を見上げてきて。  その顔が、俺と目があった瞬間、照れて揺らめいたの、気のせいじゃないよな?  密着した身体と、汗で張り付いた服。俺を見つめる潤んだ瞳。赤く染まった頬。  匂い立つ、大好きな女の誘いかけるような甘い体臭(かおり)。  俺は人がいないのをいいことに、音芽のあごに手を掛けて、その薄く開かれた形の良い唇を塞いだ。 「――、んんっ」  音芽が「外なのに」と言いたげにくぐもった声を出して俺の腕をギュッと掴んできた。それがまた色っぽくてそそられる。  音芽からのささやかな抗議を無視して、ぬるりと舌を擦り合わせるように彼女の熱い口中で(うごめ)かせたら、抵抗するように俺の舌を押し返してきた。  そういう反応の全てがまた可愛くて、俺はその舌を絡めとって軽く吸ってやったんだ。 「や、ぁっ、……んっ」  ああ、ヤバいな、これ。  ここが外だというのを忘れて、さらにへ進みたくなっちまう。  俺は音芽の唇を解放すると、彼女を抱き寄せて耳元でささやいた。 「なぁ、音芽、和音(かずね)を迎えに行くまでの残り数時間、家で続きするんで――いいよな?」          END     (2020/08/31-2020/09/05)
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