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「なぁ音芽。お前が可愛すぎるせいで夜更かししちまった可哀想な旦那からのお願い、聞いてくれる?」
言われて、「私のせいにしないで!」って彼のほうを向いたら、温和ってばいつの間にか頭を起こしていて。
視線が目と鼻の先で、パチンとかち合ってしまったの。
「――っ!」
間近で見る温和はドキッとしてしまうくらいカッコ良くて……私は即座に照れて動けなくなってしまった。
同じ洗剤で洗濯をして、同じボディソープやシャンプーを使っているはずなのに……どうして温和を介して漂ってくる香りは、「温和の匂いだ」っていう色気を孕んで薫ってくるんだろう。
ふわりと香る嗅ぎ慣れた温和の匂いに、心臓がバクバク言って、苦しくなって。
対して、温和のほうは確信犯だったみたい。
不意打ち過ぎる大好きな人の気配に、固まってしまった私の唇にチュッと軽く口付けると、そのままコロンと私の太腿の上に寝そべるの。
「ひゃっ」
薄手のシフォンスカート越し。
温和のふわふわの髪の毛の感触までつぶさに伝わってくるようで、私の身体は緊張でギュッと固くなった。
「バーカ。なに緊張してんだよ」
力の入った身体は、温和が頭を載せた太腿も強張らせたみたい。
ククッと楽しそうに笑いながら、温和が私の腿をやんわりと撫でさすってきて。
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