■寝てください/オマケ的SS⑥

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「なぁ音芽(おとめ)。お前が可愛すぎるせいで夜更かししちまった可哀想な旦那からのお願い、聞いてくれる?」  言われて、「私のせいにしないで!」って彼のほうを向いたら、温和(はるまさ)ってばいつの間にか頭を起こしていて。  視線が目と鼻の先で、パチンとかち合ってしまったの。 「――っ!」  間近で見る温和(はるまさ)はドキッとしてしまうくらいカッコ良くて……私は即座に照れて動けなくなってしまった。  同じ洗剤で洗濯をして、同じボディソープやシャンプーを使っているはずなのに……どうして温和(はるまさ)を介して漂ってくる香りは、「温和(はるまさ)の匂いだ」っていう色気を(はら)んで薫ってくるんだろう。  ふわりと香る嗅ぎ慣れた温和(はるまさ)の匂いに、心臓がバクバク言って、苦しくなって。  対して、温和(はるまさ)のほうは確信犯だったみたい。  不意打ち過ぎる大好きな人の気配に、固まってしまった私の唇にチュッと軽く口付けると、そのままコロンと私の太腿(ふともも)の上に寝そべるの。 「ひゃっ」  薄手のシフォンスカート越し。  温和(はるまさ)のふわふわの髪の毛の感触までつぶさに伝わってくるようで、私の身体は緊張でギュッと固くなった。 「バーカ。なに緊張してんだよ」  力の入った身体は、温和(はるまさ)が頭を載せた太腿も強張らせたみたい。  ククッと楽しそうに笑いながら、温和(はるまさ)が私の(もも)をやんわりと撫でさすってきて。
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