3101人が本棚に入れています
本棚に追加
/698ページ
「あ……っ、ダメ! それ、くすぐったいっ」
くすぐったいと気持ちいいは紙一重。
それが分かっているから、必死で彼の手を捕まえたら、「じゃあ固くならずに力抜けよ」って命令された。
私にとって、温和の命令は何故か従いたいって思わされる力を持っていて。
ふぅ、っと長めに吐息を落とすと、私、頑張って力を抜いたの。
「ん、心地よくなった」
温和が私の腿にぽんぽん、と優しく触れながら言って……。付け加えるように
「なぁ音芽。このまま少し、脚、貸しててくれよ」
――ちょっと眠りたい。
温和が、またひとつ、小さく欠伸を漏らしながら言うから、「ん、分かった」って答えたの。
なのに。
「はっ、温和さんっ、何で目、閉じないんですか?」
さっきからずっと。
膝枕をされた格好のまま、温和が私をじっと見上げていて……。
その視線だけでも居心地悪いのに、「下から見上げるとお前、本当睫毛長いのな」とか言ってくるの。
最初のコメントを投稿しよう!