■寝てください/オマケ的SS⑥

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「あ……っ、ダメ! それ、くすぐったいっ」  くすぐったいと気持ちいいは紙一重。  それが分かっているから、必死で彼の手を捕まえたら、「じゃあ固くならずに力抜けよ」って命令された。  私にとって、温和(はるまさ)の命令は何故か従いたいって思わされる力を持っていて。  ふぅ、っと長めに吐息を落とすと、私、頑張って力を抜いたの。 「ん、心地よくなった」  温和(はるまさ)が私の(もも)にぽんぽん、と優しく触れながら言って……。付け加えるように 「なぁ音芽(おとめ)。このまま少し、(ここ)、貸しててくれよ」  ――ちょっと眠りたい。  温和(はるまさ)が、またひとつ、小さく欠伸を漏らしながら言うから、「ん、分かった」って答えたの。  なのに。 「はっ、温和(はるまさ)さんっ、何で目、閉じないんですか?」  さっきからずっと。  膝枕をされた格好のまま、温和(はるまさ)が私をじっと見上げていて……。  その視線だけでも居心地悪いのに、「下から見上げるとお前、本当睫毛長いのな」とか言ってくるの。
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