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家に帰ると、持ち帰った食材を2人で手分けして冷蔵庫に仕舞う。
その途中。
バリバリッという音に温和の方を振り返ったら、さっき買って帰ったばかりのアイスのパッケージを開けているところで。
「ねぇ、だからまだ夕飯前だってば」
私は「食べるなら夕飯の後!」って言ったんだけど、温和、聞いてくれないの。
「部屋ん中、まだ冷えてなくて暑いし、これくらいじゃ夕飯にゃあ差し支えねぇって。――な?」
言われて薄水色の四角い塊を「はい」と差し出された。
そうしながら、残り4本は箱からバラして冷凍庫に仕舞う。
箱があると嵩張るから、が温和の主張だったけど、だったら箱入りなんて買わなきゃいいのに。
「やっぱりソーダ味」
別に嫌いではないけれど、何となく不満タラタラにそう漏らしたら、
「夏といえばこれだろ」
言って、ニヤリと温和が笑うの。
その笑顔に、私は思わず目を奪われた。
だってね、一瞬、子供の頃の彼の姿が、その笑顔に重なった気がしてドキッとしたんだもん。
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