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気が付いたら、温和の背中にそっと触れてしまっていて、音芽は自分の無意識の行動にドキッとする。
(わ、私ったら何してるのっ)
疲れて眠っている温和を起こしてしまいかねない愚行に、慌てて手を引っ込める。
と、その手をいきなりギュッと掴まれた。
「ひゃっ」
びっくりして思わず悲鳴を上げてしまってから、音芽は慌てて握られていない方の手で口を覆う。
「手ぇ、冷え切ってんじゃねぇか」
音芽の小さな手を両手でギュッと挟み込むようにしながら、温和が寝返りをうつ要領で音芽の方を向いた。
すぐ間近、いきなり温和と向かい合う格好になってしまった音芽はドギマギしてしまう。
「ほら、グズグズしてねぇでそっちの手も貸せ」
言われてどうしようと戸惑っていたら、口を塞いだまま止まっていた手も、温和にさらわれてしまう。
「あ、あの、でもっ」と慌てて手を引こうとした音芽だったけれど、温和はそれを許してくれなくて。
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