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「俺の寝込み、襲おうとしてくれてたんじゃねぇのかよ?」
次いで、おでこをくっつけるようにして温和にクスクス笑われて、音芽は真っ赤になってうつむいた。
「ち、違っ。あ、足がねっ、冷た、かっ」
……た、から……。
ゴニョゴニョと尻すぼまりに小さくなる音芽の声に、温和がニヤリと笑う。
「それはいけませんね、音芽さん」
言うが早いか、布団がバサリとめくり上げられて、音芽は温和にひざ裏をすくい上げられる形で組み敷かれていた。
「あ? ……えっ!?」
急に身体を折りたたんだみたいな格好にされて、目を白黒させて驚く音芽を、温和が彼女の両足の間から満足そうに見下ろしてくる。
「お前の冷え切った身体、俺が暖かくなるようにしてやるよ」
音芽に見せつけるようにふくらはぎからかかとに向けて口づけていきながら、ゆっくり足先に向けて這い上っていく温和を見て、音芽の顔がぶわりと朱に染まった。
「やん、温和っ。ダメっ、それ……くすぐったい」
温和の攻めに耐え難いみたいに必死で足指をギュッとグーに縮こめる音芽に、温和が一層笑みを深くする。
「ほら、もうこれだけで指先が少し温もってきてる」
音芽の足をサワサワと撫でさする温和に、音芽自身もさっきまで冷え切っていて眠れなかった自分の身体が、嘘みたいに熱を帯びてきているのを感じずにはいられなかった。
でも――!と、半ば熱に浮かされかけた頭で、音芽はぼんやりと思考する。
今のままじゃ、結局別の意味で眠れなくなってしまいそうだよっ!?って――。
END(2020/10/01〜10/6)
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