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「……音芽さん、朝から……大胆ですね」
薄っすらと温和の目が開いて、スッと伸びてきた左手に、頭を抱えられるように引き寄せられて当然のように唇を塞がれる。
「んっ、……」
温和、口調も表情もトロンとしてるし、まだ寝ぼけているような……?
半覚醒にしか見えないのに、温和のキスの手管はいつもと変わらない。
口中にぬるりと熱い舌を滑り込まされて、口蓋をやんわりと擦られた途端、ダメだと思うのにゾクゾクとした快感が駆け上がってきた。
「……っ、ん」
最近温和と、前みたいに肌を重ねていないからかな。私自身もほんの少しのことですぐに身体が火照ってしまっていけないの。
一瞬で温和のキスにほだされそうになった私を、お腹の中からポンッと蹴ってくる存在が、現実に引き戻す。
うん、そうだね。
パパを遅刻させるわけにはいかないよね。
「は、るま、さっ、……ダ、メ、っ。お願っ、起き、て?」
私は一生懸命温和のほっぺをペチペチ叩いて彼の覚醒を促した。
「ん? ……音芽? ちょっ、痛ぇよ……」
今度こそしっかりと温和の視線が私を捉えたのを確認して、ホッと息をつく。
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