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「お前に襲われる夢見てたのにな。残念。もう朝かよ」
――せめて夢の中でぐらい久々にじっくり音芽を可愛がりたかったんだけどな?
拗ねたように言いながらベッドに半身を起こした温和に、その言葉とは裏腹。とても柔らかく口付けられる。
「おはよう、音芽。――おはよう、姫」
病院の定期健診で、お腹の中の赤ちゃんが女の子だと告げられて以来、温和は私のお腹に向かって姫、と呼びかけるようになった。
それまではずっとチビだのマメだの言っていたのにね、ゲンキンなパパなのです。
あと1ヶ月もすれば、温和も私も、姫ちゃんのパパとママになる予定で、私は少し前から産休に入っています。
温和は私の妊娠が分かってからは私の身体には触れないように気をつけてくれているみたい。
特に、胸は触ると子宮が収縮してしまうというのを知ってからは、グッと我慢してくれているようで。
それが、ほんの少し申し訳ないな、とも思っていて。
「ごめんね、温和……」
いい夢?を見ていたのを起こしてしまったのもそうだし。
現実でも、温和に淋しい思いをさせてしまっているんじゃないかと思うと、なんだか申し訳ないのです。
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