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「バーカ。俺のは自分で何とか出来んだよ。お前のはお前一人の問題じゃねぇだろ? 気にすんな」
ギュッと抱きしめられて、「早く会いたいな?」ってお腹にそっと触れてくる温和が、本当に愛しくて堪らないの。
私、子供は最低2人って思っていたけれど……この子を妊娠してからは、少し考え方が変わってきてしまった。
温和と触れ合えない期間は、私にとっても思いのほか辛くて。
妊娠中にそういうことをしてはいけないということはないらしいのだけど、温和は何かあってからじゃ困るから、と頑なに禁欲を貫いていて。
それを私は少し寂しく思っていたりもするのです。
お腹に赤ちゃんが来たら、旦那さんのことをうっとうしく思うことがあるって聞いたことがあるけれど……私はいまのところそんなことはないみたいで、正直ホッとしてる。
この子を産んだ後も、どうかそんな風になりませんように、って願いながら。
こればっかりは産んでみないと分からないから物凄く不安で。
温和も、お母さんになった私が色々変わってしまったとしても、今みたいに変わらず愛してくれるかな。
そう言うのもね、実はすごくすごく不安なの。
おはよう、って2人で何気ない朝を迎えるたび、私はそんなあれこれの未来を気にして胸騒ぎに襲われていたりします。
いつまでも温和と私、ちゃんと相手のことを大好きでいられるかな?
ねぇ温和。もし私が温和のことを邪険にしたり、こっちに来ないで、とか変なことを言ったとしても……。きっとそれ、いっときの気の迷いだから。
だからお願い。私を嫌いにならないで?
END(2020/10/25)
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