■早く寝てくんねぇかな?/オマケ的SS⑩

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 音芽(おとめ)のやつ、仕事後に「ちょっと用事を済ませてきたいの」とか言っていそいそと出かけて行ったけれど……なに俺に断りなく髪の毛バッサリ切ってんだよ。  和音(かずね)が、「たまにはママをひとりにしてあげないと嫌われるわよ?」とかいうからしぶしぶ許しただけなのに、和音(あいつ)も共犯だったか。――くそっ。  などなど言いたいことは山ほどあるのに、不満を口にする前に、興奮した様子の音芽にさえぎられてしまった。 「でね、お兄ちゃん、髪の毛短く切って黒く染めてたのよ!」  一瞬音芽の言っている言葉の意味が分からなくて、俺は自分でもわかるぐらい間抜けな声を出していた。 「は?」 「だから、お兄ちゃんよ! ものすごいイメチェンしてたのっ!」  ――いや、それ、お前もだからな?  喉元まで出かけた言葉を、俺は寸前で一旦飲み込んだ。  奏芽(かなめ)がイメチェンしたと言うのも全く気にならないわけじゃない。  けどそれはまた後日、本人に直接会えば嫌でも分かることだ。  それより何より、俺にとって重要なのは音芽(おまえ)の変化のほうだ。
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