3102人が本棚に入れています
本棚に追加
/698ページ
「は、温和……。あのね」
と、音芽が俺の予想に反してギュッと俺にしがみついてきて。
耳元で消え入りそうな声でささやいてくるんだ。
「私の……髪、短くなったから……温和、ベッドに広がる私の髪に気を遣わなくてもよくなった、よね?」
「――っ!」
まさか気付かれていたとは。
俺が音芽の顔付近に手をつく時、彼女の髪を押さえつけないように気をつけていたこと。
「髪、短い方が……温和も……その、しゅ、集中……できる、でしょ?」
そう言って俺を見上げた音芽の表情は、紛れもなく〝女〟のそれで。
ちょっとからかうだけのつもりだったけど、そんな面貌されたら無理だわ。
なぁ音芽。
今夜が楽しみだな?
――和音、早く寝てくんねぇかな?
END(2020/12/03)
最初のコメントを投稿しよう!