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「め、めりぃ……くりすます……っ」
玄関先、モジモジとしながら歯切れの悪い物言いをする、茶色いのが立っていた。
「お、とめ?」
……だとは思う。
体型も小柄だし、そもそも音芽の部屋にアイツ以外が居たら怖ーし。
「……はい。おと……め、です」
名乗るのも何だか恥ずかしそうにして……こいつは何をやっているんだろう。
「何でそんな格好」
多分トナカイ……の着ぐるみ、なんだと思う。
全身茶色、顔にも鹿みたいな被り物をして、立派な角だって生えている。
首にカウベルみたいな鈴がぶら下がっていて、音芽?が動くたびにカラカラと音が鳴った。
「か、佳乃花がっ」
「朝日さんが……なに?」
「く、クリスマスにいつもと違う格好をしたら……男の人は喜ぶって」
ゴニョゴニョと口ごもる鹿……じゃなくてトナカイを見て、いつもにまして声がくぐもってて聞こえづれぇな、と冷静に観察してみたり。
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