3102人が本棚に入れています
本棚に追加
/698ページ
当然の権利のように音芽の可愛い乳房に手を伸ばしたら、
「いっ、……!」
途端音芽が小さく悲鳴をあげて、ギュッと身を縮こまらせたのが分かった。
昨夜可愛がりまくったからか、未だ固くしこったままの先端に、ほんの少し指先がかすめただけだ。
そんなに強く触ったわけじゃない。
「音芽?」
その反応に驚いた温和が、音芽を自分の方に向かせたら、涙目で見上げられてしまった。
「温和に触れられすぎて、すごくジンジンして痛いのっ。だから……」
触らないで欲しかった。
最後までは告げられなかったけれど、ここに至ってやっと、温和は音芽の真意を理解した。
「バカ、そういうのはちゃんと言えよ」
男はそう言うのには鈍い生き物だ。
「言ってくれなきゃ分かんねぇだろ?」
何となく腹立たしく感じた温和が、責めるように音芽にそう告げたら「言われなくても察してよ……」と泣かれてしまって。
さすがの温和も、その顔を見せられては反省せざるを得なかった。
「すまん」
痛いのだと音芽が訴える可愛い色付きの先には触れないようにそっと彼女の小さな身体を抱き寄せれば、小声で「――私こそやわでごめんなさい……」とか。
「バカ音芽。どう考えても俺が悪いだろ。謝んな」
小さく肩を震わせながら自分に縋り付く音芽の頭を優しく撫でてなぐさめながら、温和は音芽からOKがもらえるまで、意地でもそこには触れまいと心に決めた。
カーテンから差し込む外の明るさに、温和はぼんやりと和音が起きてくるまでにシャワーくらいは済ませておかねぇとなと思う。
そうしてふと今にも疲れで眠ってしまいそうな音芽を揺り起こしながら、今年ボーナスが出たら寝室の一角にシャワー室設けるかな。
懲りもせず、音芽を抱き潰すこと前提で考える。
温和のそんな思惑を、彼の腕の中の音芽が知るのは、その年の夏以降。
彼女の優しいドS旦那が、音芽の胸に1ミリも触れずにいられたのは、三が日の間が関の山だった……というのとは、また別のお話。
END(2021/01/01)
最初のコメントを投稿しよう!