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戸惑いに揺れる瞳で温和をじっと見つめた音芽だったけれど、温和はまるでその視線に気づかないみたいに彼女の方を見ようともしない。
それはもう運転中なことを差し引いても不自然なほどで。
「あの、はる、まさ?」
そっとハンドルを握る温和の腕に触れた音芽は、着痩せするんだろうか。見た目よりはるかに筋肉質で〝男〟を感じさせる温和のたくましい腕の感触にドキッとする。
「とりあえずアレコレ考えねぇで『はい』でいいんじゃね?」
まるでそれが最終通告だとでも言わんばかりに温和が有無を言わせぬ口調でそう言って。
温和に強く出られることに弱い音芽は、半ば強引に押し切られる形で「はい」と言わされていた。
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