3101人が本棚に入れています
本棚に追加
/698ページ
「ひゃっ」
途端音芽がビクッと肩を跳ねさせて、その反応に温和が満足そうにニヤリとする。
好きだとは素直に言ってやらないくせに、いちいち音芽を振り回すような行動をとるのは温和の悪い癖だ。
鈍感な音芽にも温和の言わんとしているところは分かったけれど、だからと言って「好きだ」と言われなくても平気というわけではない。
ちゃんと言葉にして欲しいのに、それはなかなか与えてくれなくて。
なのにこんな風にいきなり色々すっ飛ばして〝男と女〟を意識させられるようないじり方をされたら、そういうことに不慣れな音芽は堪らなく困ってしまうのだ。
温和とそういう関係になってまだ日が浅いし、そもそも奏芽と温和によって男たちを遠ざけられてきた音芽には、全くもってその辺りの耐性がない。
「い、意地悪っ」
でも分かるからこそちゃんと言って欲しいのだ。〝俺も好きだよ〟と。
最初のコメントを投稿しよう!