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「――俺が……どんだけお前のことが……きか……コレ食い終わったらタップリ教え込んでやるから。覚悟しとけ」
肝心の「好き」のところをうまく言えなくて、音芽に「お願い、もう一回」とおねだりされたけれど、当然温和は言い直すつもりなんてない。
結局あやふやなまま音芽が作ったご馳走を食べ終えて、ケーキまでしっかり平らげてから。
まるで余韻に浸る間も惜しいのだと言わんばかりに温和が言う。
「俺の部屋、行くぞ」
有無を言わせぬその口調に、音芽は「でも片付けが」という言葉を最後まで言うことができなかった。
――効率重視の温和なのに。別にこのまま音芽の部屋で過ごしたのではダメなのかしら?
音芽のそんな疑問や戸惑いを残したまま、2人は最初の予定通り、温和の部屋へと移動する。
そうしてその先で、音芽は知ることになるのだ。
温和がどうしても音芽を自分の部屋に連れ込みたがった理由を。
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