2.好きじゃないとか嫌いじゃないとか

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「――俺が……どんだけお前のことが……きか……コレ食い終わったらタップリ教え込んでやるから。覚悟しとけ」  肝心の「好き」のところをうまく言えなくて、音芽(おとめ)に「お願い、もう一回」とおねだりされたけれど、当然温和(はるまさ)は言い直すつもりなんてない。  結局あやふやなまま音芽が作ったご馳走を食べ終えて、ケーキまでしっかり平らげてから。  まるで余韻に浸る間も惜しいのだと言わんばかりに温和(はるまさ)が言う。 「俺の部屋、行くぞ」  有無を言わせぬその口調に、音芽は「でも片付けが」という言葉を最後まで言うことができなかった。  ――効率重視の温和(はるまさ)なのに。別にこのまま音芽(こちら)の部屋で過ごしたのではダメなのかしら?  音芽のそんな疑問や戸惑いを残したまま、2人は最初の予定通り、温和(はるまさ)の部屋へと移動する。  そうしてその先で、音芽は知ることになるのだ。  温和(はるまさ)がどうしても音芽を自分の部屋に連れ込みたがった理由(わけ)を。
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