3.今日は温和の誕生日だよ?

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 それはそれは豪奢(ごうしゃ)で心奪われるドレスだけれど、それだけに如何にも〝男の部屋〟といった雰囲気の、飾り気のない温和(はるまさ)の部屋には余りにもそぐわない代物(しろもの)だ。  音芽(おとめ)が戸惑ってしまったのも無理はない。 「は、るまさ? コレ……」  なぁに?と聞きたいのに、一気に押し寄せる情報に圧倒されて、その言葉が出てこない。  ふと見れば、ソファそばのローテーブルの上にはそのドレスに似合いそうなネックレスやイヤリングまで用意されていた。 「見て分かんね? ドレスだけど」  靴を脱ぎかけた姿勢のまま、所在なく玄関先に立ち尽くした状態で動かなくなってしまった音芽に、焦れた様子で温和(はるまさ)が手を伸ばす。 「とりあえず靴脱いで上がれ」  待ちきれないとばかりに、半ば強引に音芽の手を引いて()き立てると、そのままドレスの前まで連れて行った。
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