甘いお誘い

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鳥飼(とりかい)先生、お疲れ様です。……足の調子はどんなですか?」  時計が十七時半を回った頃。  児童らに配る課題プリントをせっせと手直ししていたら、不意にパソコン画面に人影がさして、すぐ横から声をかけられた。  うちの学校の勤務時間は七時四〇分から十六時四〇分。なので現段階で既に残業している感じの時間帯なんだけど、大抵いつも十八時前後までみんな残ってしまっているから、そういう感覚にならないのがよくないな、とか思っていたりする。  隣の席の温和(はるまさ)は、さっき逢地(おおち)先生に呼ばれて出て行っていて席空き中だ。  養護教諭が、温和(はるまさ)に何の用だろう?と思いながらソワソワした気持ちで見送ったのは内緒。  そんなこと言ったら、きっと温和(はるまさ)に「仕事中に馬鹿か」って怒られちゃう。 「お陰さまで随分楽になりました。明日には普通に歩けるようになってるかな?って思います」  朝は割と腫れていた膝も、一日あまり歩かないようにして過ごしたのが功を奏したのか、随分マシになっていた。  この分なら一晩寝たら歩くのには支障なくなるかな?  そんな風に思いながら、私のデスク横に立った鶴見(つるみ)先生ににっこり笑う。 「それは良かったです。あの、それで……鳥飼先生、お仕事、あとどのぐらいかかりそうですか?」  いきなり話題を変えてきた鶴見先生に、私は一瞬キョトンとする。
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