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「――早速なんだけどさ、脱衣所でこれに着替えてきてくれる?」
音芽の肩を抱くようにした温和からそう要求されて、音芽は思わず
「えっ。今からっ?」
と聞き返していた。
「そ、今から。――すぐ」
音芽の戸惑いなんてどこ吹く風。
温和は何でもないことみたいにそう返すと、トルソーからドレスを脱がせて音芽に手渡す。
「あのっ、でも」
こんなことになると思っていなかった音芽は、当然のことながらドレスに合うような下着を身につけていない。
「でも?」
「こっ、こう言う肩口の開いたドレスを着るときって……肩紐のある下着じゃダメだと思うの。私、今、そういうの、身に付けてない……」
ベストはきっとヌーブラとか、そういうペタリと肌に貼り付ける系のものだと思う。
でも、違うから。だから諦めて?
そう言うつもりで音芽は言ったのだけれど。
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