3.今日は温和の誕生日だよ?

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*** 「――早速なんだけどさ、脱衣所でこれに着替えてきてくれる?」  音芽(おとめ)の肩を抱くようにした温和(はるまさ)からそう要求されて、音芽は思わず 「えっ。今からっ?」  と聞き返していた。 「そ、今から。――すぐ」  音芽の戸惑いなんてどこ吹く風。  温和(はるまさ)は何でもないことみたいにそう返すと、トルソーからドレスを脱がせて音芽に手渡す。 「あのっ、でも」  こんなことになると思っていなかった音芽は、当然のことながらドレスに合うような下着を身につけていない。 「でも?」 「こっ、こう言う肩口の開いたドレスを着るときって……肩紐のある下着じゃダメだと思うの。私、今、そういうの、身に付けてない……」  ベストはきっとヌーブラとか、そういうペタリと肌に貼り付ける系のものだと思う。  でも、違うから。だから諦めて?  そう言うつもりで音芽は言ったのだけれど。
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