3.今日は温和の誕生日だよ?

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「だったら下着(ブラ)、要らなくね?」  ――どうせ脱がすんだし。  そんな言葉が聞こえてきそうなあっけらかんとした温和(はるまさ)の声音に、音芽(おとめ)は思わずフリーズする。  音芽の目論見(もくろみ)では、今のセリフで諦めてくれるか、最悪でも「だったら下着取り替えに戻ってこいよ」となる予定だったのだ。  なのに何で? 「あ……、で、でもっ」  困惑に、眉根を寄せる音芽に、 「これさ、結構布地厚いし胸んところもたくさん刺繍(ししゅう)入ってんじゃん。ノーブラでも問題ねえだろ」  乳首が透けて見えなきゃいいわけだろ?みたいな言い草に、音芽はグッと言葉に詰まる。 (バカ温和(はるまさ)っ!)  思いながら温和(はるまさ)を睨んでみた音芽だったけれど、いっかな意に介した風はなく、「ん?」と見つめ返された。 「今日は俺の誕生日なんだけど――?」  挙げ句の果て、そんな風にされてしまっては、音芽は観念するしかない。  寄せて上げて、が出来ない分、絶対襟元(えりもと)から覗く胸の谷間に支障が出ると思うのに、男である温和(はるまさ)にそこまで赤裸々(せきらら)に訴えるのは恥ずかしいことだ。 「わかり、ました……」  結局、温和(はるまさ)から強気に出られると嫌と言えない音芽(おとめ)は、渋々うなずいてドレスを手にすると、温和(はるまさ)の要求通り脱衣所に引っ込んだ。
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