4.Play with dolls*

3/4

3101人が本棚に入れています
本棚に追加
/698ページ
「女の子ってさ、人形遊びをするとき、服とか着替えさせるんだろ?」  音芽(おとめ)が答えられないのを知っているくせに、まるで問いかけるようにそう言いながら、温和(はるまさ)がドレスの背面にあるファスナーに手を掛ける。  思わずその気配に音芽がギュッと縮こまるのへ、「じっと、な?」と再度言葉で呪縛し直した温和(はるまさ)は、この上なく上機嫌だ。 「一度さ、お前とこういうプレイ、してみたかったんだよな、俺」  ククッと笑うと、一生懸命動くまいと頑張っている音芽に「嫌か?」と問いかける。  音芽は「嫌じゃない」と答えたくてもそれを伝える(すべ)が与えられていなくて、そのことがすごくもどかしいみたいに温和(はるまさ)をじっと見つめ続けた。 「音芽(おとめ)、俺はどこまでならお前に許されるのか、たまに物凄く暴走したくなっちまうんだ」  それで音芽(おとめ)からの愛を推し測ろうとでもしているのだと言いたげな口調の温和(はるまさ)に、音芽(おとめ)は「貴方になら何をされても許すのに」と応えたいのに言えなくて。 「お前が本当に嫌ならさ、命令違反しても俺、許すから」  小さく耳元で落とされた言葉に、音芽は「嫌じゃない」と伝えたくて、(かたく)なに動かない人形を演じ続ける。
/698ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3101人が本棚に入れています
本棚に追加