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先日温和に、「俺は音芽の兄貴でいるつもりなんてねぇのに」ってぼやかれて、おや?と思った。
音芽に「お兄ちゃん」と呼ばれたい俺と、「お兄ちゃん」と呼ばれたくない温和。
完全に利害の一致じゃねぇか。
「だったらさ、ハル兄って呼ばれるたびにお仕置きしてやればいいんじゃね?」
俺は自分の気持ちを明かさないまま、幼なじみを自分に都合のいいように焚きつける。
これで音芽がハルのことを「ハル兄」って呼ばなくなったら、俺は晴れてアイツのたった一人の「お兄ちゃん」だ。
そう思ったんだけどな。
何でアイツ、ハルのこと「温和」って呼ぶようになった今でも、俺のこと「カナ兄」って呼び続けてるんだろうね?
鈍感な妹だから、やっぱガツンと言ってやるしかねぇのかな。
お前の兄貴は俺しかいねぇんだから、呼び分ける必要なんてねぇだろ? 単純に「お兄ちゃん」でよくないか?ってな。
音芽が俺のことを「カナ兄」って呼んでる間は、きっと心の奥底では温和のことも兄貴だと思ってる証拠だと思うんだ。
なぁ、ハル。
お前はそのことに気付いているか?
END(2020/06/11)
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