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甘く重怠い疼痛を訴える腰の違和感に、愛された実感を覚えながらのシャワーから戻ると、温和の穏やかな寝顔があった。
パジャマがなかったのでとりあえず、と着てみたスリップの下は、ブラはおろかショーツさえ身に付けていない。
だって。
履いたほうがいいかなって手にしたショーツは、温和に脱がされた時にはもう随分としっかり濡れそぼっていて、とても再度身に付けられるような状態ではなかったんだものっ。
「温和、可愛い」
情事の後、そのまま眠りそうになっていた私を促して、「シャワーだけは済ませておけよ」って言ってくれた温和だったのに。
私がそうしている間に、自分は疲れて眠ってしまったのね。
無理もない。
彼は昨日の夜、ほとんどまともに眠れていなかったみたいだし、それに――。
先ほどまでのあれこれをふと思い出して、途端赤面してしまう。
温和、私のおねだり通り……いやそれ以上に……私に愛されているんだって実感を沢山沢山注ぎ込んでくれた。
視線を転じると、お互いに残しあった胸元のキスマークが目に付いて、彼は私の、私は彼のものなんだとキュン、と甘やかに胸が疼く。
そういえば――。
私、温和の写真、高校生の時に買った、例の修学旅行の写真以来、ちゃんとしたの、持っていない。
そう気付いたらソワソワと落ち着かなくなって、私はそっとベッドから離れると、玄関付近に放置されたままになっていた鞄からスマホを探して戻ってきた。
すやすやと眠る彼をこっそり写真に収めてから、ふふと笑って、もう一度布団にもぐり込む。
温和は私の気配を察すると、無意識なのかな。
眠ったまま私の頭を優しく撫でてくれて、背後からギュッと抱きしめてくれた。
起きなきゃいけない時間まではまだあと数時間。
薄い布越しに温和の体温を感じながら、私はそっと目を閉じた。
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