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そういえばそんなに苦手なら両親に断って、奏芽に頼ませればよかっただろうに、と思った俺だったが、その兄も小児科医だったことを思い出して「ああ」とひとり納得した。
しかし奏芽も近場にいないとなると――。
音芽の実家に泊まっても、邪魔が入ることを気にせず、ふたりの時間が過ごせるのかもしれない。
ただひとつ問題があるとすれば――。
「音芽、ひとつだけ条件がある」
俺がふと思い出したようにそう声をかけたら、音芽がかしこまったように背筋をぴんと伸ばした。
「な、何でしょう?」
飲める条件でなかったら困る、と顔に書いてあるのを見て、思わず笑ってしまう。
「大したことじゃねぇよ。俺の親には俺が来てること、悟られないようにすること」
言ったら、一瞬キョトンとした顔をして、「ぜ、善処します!」
音芽がピッと愛らしく敬礼をしてみせた。
よし、仕込みは上々だ。
幼い頃から見知ったあの部屋で音芽を抱いたらどうなるんだろう?
ふとそんな淫らな妄想をしてしまって、俺はごくりと生唾を飲み込んだ。
ふたりのお袋さんが、かつてはピアノ教室の先生をやっていたという音芽ん家には、ピアノのある部屋があって、そこは完全防音仕様だ。
あの部屋でなら、思い切り彼女を啼かせても問題ないはずだ。
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