特典④『雨とピアノとハムスター』

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音芽(おとめ)、口開けろ」  音芽の身体をシートに押さえつけるようにしてそう言ったら、彼女が躊躇(ためら)いがちに小さく口を開く。  その従順さが可愛くて 「いい子」  思わず子供の頃にしていたみたいに音芽の頭をそっと撫でると、そのままもう一度唇を塞ぐ。 「はぁ、……ん、っ」  なんでキスだけでそんなエロい声が出せるんだよ、お前。  ヤバイな。このままじゃここで最後までなっちまう。  音芽と舌を擦り合わせるたびにチュクッと濡れた水音がして、外の雨音をかき消すように俺の耳を占拠する。  その音に誘われるように音芽の胸をくすぐると、着衣の上からでも、彼女の胸の先端が固くとがっているのが分かってドキッとする。 「……ぁ」  キュッと立ち上がったそこをつまんだら、ふさいだ音芽の口の()から小さく吐息が漏れた。  その声に煽られて、スカートの内側に無意識に指を滑り込ませたら、もうすっかりそこも温かく湿り気を帯びていて。  下着の上から亀裂に沿って指を這わせたら布越し、熱いくらいに俺の指先を濡らす。  それを確かめるように動かした指先が、足の(あわい)の終着点にある敏感なところを掠めた瞬間、音芽がキスから逃れて「ひゃ、ぁっ」と小さく身体を跳ねさせた。  耐えきれないように俺にしがみついて「ダメ……っ」とつぶやいてギュッと力が込められた小さな手。  うわ、やべっ。  めちゃくちゃ可愛いっ。 「――音芽。続きは部屋に入ってから、な?」  音芽の耳元にささやくように熱い吐息を吹き込んだら、音芽が身じろぐように首をすくませた。  そういう何気ないひとつひとつの仕草全てが、愛しくてどうしようもない。  正直な話、傘とかささずに土砂降りんなか、2人で走ってマンションまで突っ切りたい衝動に駆られるほどだ。  濡れたらそれを理由に服、脱がせられるしな。  とか普通に考えてしまう自分が怖い。  俺ってこんなに性欲強い男だったっけ?  音芽の味を知るまではそれ程さかっていなかった気がする。  ま、知っちまったもんは仕方ねぇ。  そこはそれ、何も知らない音芽に〝このぐらいの頻度が〟だと刷り込めばいい。  音芽の初めての男でよかった、と心底思ってしまったのは本人には秘密だ。
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