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「初めまして、ドレミさん。キミのお姉さんとお付き合いさせていただいています、霧島温和と申します」
わざと音芽をからかうようにそう言ったら、音芽がぷぅーっと頬を膨らませた。
「ネズミのお姉さんになった覚えはないですっ」
そんな風に拗ねる音芽は知らないんだろうな。
お前の実兄が、自分とシリーズもののように音楽繋がりでまとめられた妹の名前をいたく気に入っていることに。
その絡みでいくと、ドレミも同じくくりだと俺は思う。
ついでに言うと、俺には到底入り込めない血縁ゆえの絆みたいなものを感じさせられて、少しうらやましかったりもする。
どんなに親しく家族ぐるみで付き合ってきても、俺は霧島の人間であって、鳥飼の一族ではないのだと、こう言うとき、不意に突きつけられた気分になる。
「温和?」
急に黙り込んでしまった俺を怪訝に思ったんだろう。
音芽が気遣わしげに声をかけてきた。
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