特典④『雨とピアノとハムスター』

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「なぁ音芽(おとめ)。お前……」  俺と兄妹(きょうだい)じゃなくてよかったって思うか?  ふと聞きそうになってしまって、寸前で言葉を飲み込んだ俺は、音芽に近づいた。 「なぁに?」  俺を見上げてくる大きくて愛らしい目。  小さくて可愛いプニプニの唇。  ギシッとスプリングを軋ませてソファに片膝を付くと、音芽に軽くキスを落とす。  こう言うことが出来るのは他人だから、だよな。  ふとそんなことを思って、だったらこれはこれでよかったのかな、と自分の中で納得をした。 「温和(はるまさ)?」  音芽の吐息が唇をかすめて、「俺と付き合えて嬉しい?」と思わず聞いていた。  音芽は一瞬瞳を見開いてから、頬を染めて「はい」と小さく首肯した。 「俺も……」  俺はそれに珍しく素直にそう返してから、照れ臭さを隠すように、「夕飯(めし)どうする?」と即座に話題を変えて誤魔化した。
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