3103人が本棚に入れています
本棚に追加
「なぁ音芽。お前……」
俺と兄妹じゃなくてよかったって思うか?
ふと聞きそうになってしまって、寸前で言葉を飲み込んだ俺は、音芽に近づいた。
「なぁに?」
俺を見上げてくる大きくて愛らしい目。
小さくて可愛いプニプニの唇。
ギシッとスプリングを軋ませてソファに片膝を付くと、音芽に軽くキスを落とす。
こう言うことが出来るのは他人だから、だよな。
ふとそんなことを思って、だったらこれはこれでよかったのかな、と自分の中で納得をした。
「温和?」
音芽の吐息が唇をかすめて、「俺と付き合えて嬉しい?」と思わず聞いていた。
音芽は一瞬瞳を見開いてから、頬を染めて「はい」と小さく首肯した。
「俺も……」
俺はそれに珍しく素直にそう返してから、照れ臭さを隠すように、「夕飯どうする?」と即座に話題を変えて誤魔化した。
最初のコメントを投稿しよう!