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「で、成果のほどは?」
冷蔵庫をガサガサあさっている音芽に聞くと、「お肉はみんな冷凍されてました」と残念そうに答える。
「でもね、でもね、何とフードストッカーに!」
言って、シーチキンの缶詰を数缶と、パスタを見せびらかしてくる。
何だお前、可愛いな。動きがハムスターみたいだぞ、なんて思ってから、これ言ったら絶対怒るな、と1人ツボに入って笑ってしまう。
そんな俺に気づかず、音芽が上機嫌で続けた。
「これとね、冷凍された茹でほうれん草のストックと……使いかけの牛乳を発見しました!」
食材をキッチンカウンターに並べながらニコッと笑うのへ、「じゃあ、夜はパスタですか? シェフ」と返した。
音芽が「へへっ。そうなりそうです」と笑うのへ、俺はクラクラきそうなくらい可愛いと思ってしまった。
音芽はさすが実家だけあって、あちこちから他の材料――小麦粉や調味料などを取り出すと、「温和、お願いがあるの」と俺をじっと見つめてくる。
その顔がやっぱり凶悪に可愛くて、とうとう我慢ができなくなった俺は、思わずギュッと抱きしめたくなって手を伸ばす。が、寸前のところでスルリとかわされてしまった。
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