特典⑤*『思い切り啼かせても構わないだろう?『雨とピアノとハムスター』after』

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--------------------- episode1:ここで抱いても構わないか? ---------------------  俺を想ってピアノを弾いていた自分を指して、「恥ずかしいでしょっ?」って真っ赤になる音芽(おとめ)が愛しくてたまらなくて、俺は彼女の手を取って椅子から立ち上がらせると、ギュッと抱きしめた。  そのつもりはなかったけれど、抱きしめた瞬間に俺の身体が鍵盤の右端に当たったらしく、ピン!とおもちゃのピアノみたいな高音が鳴った。  その音に2人して顔を見合わせてから、なんだかおかしくなって笑い合う。 ***  腕の中に閉じ込めた音芽の身体から、ふわりとボディソープの香りが立ちのぼる。  俺と同じものを使ったはずなのに、音芽から漂うそれは、彼女の体臭と混ざったからか、とても甘く感じられて。 「音芽……」  音芽の小さな耳朶に指で優しく触れながら名前を呼んだら、ほんのりと情欲を乗せた潤んだ瞳で見つめ返された。 「ここで抱いても構わないか?」  防音室で心置きなくお前を()かせてみたいと言ったら、音芽はどんな反応をするだろう。  期待を込めて音芽を見つめたら「……嫌だって言っても……するんでしょう?」と拗ねたような顔をされた。 「さすが音芽。分かってんじゃん」  そんな音芽にニヤリと笑って見せると、「温和(はるまさ)の……エッチ」って小声で言われて目を伏せられた。 「お前が欲しくてたまらないエッチな俺は、嫌い?」  その顔を上向けるようにして音芽の揺れる黒瞳を覗き込んだら「き、嫌いじゃ……ないです」とか本当こいつ、なんでこんなに可愛いんだよ!
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