特典⑤*『思い切り啼かせても構わないだろう?『雨とピアノとハムスター』after』

12/12
前へ
/698ページ
次へ
「はる、まさっ、お願……っ。……ゆっくりが、いい……の」  音芽(おとめ)がそんな俺の方を振り返りながら、熱に浮かされたように涙目で懇願してくる。  その瞬間の高揚感!  だってこれ、初めてじゃねぇか?  音芽が俺の動きに注文つけてきたの。  なんだ、これ。すげぇ興奮するんだけど! 「それって……じっくり……犯されてる感じ、味わいたいってこと?」  俺は音芽をギュッと抱きしめると、音芽の耳元にそんな卑猥(ひわい)な言葉を吹き込んで、彼女の要望通り、ゆっくりと腰を動かす。  口でぐらい強気な発言をしていないと、虚栄心を保てない程度には、俺は音芽にノックアウト寸前だ。 「音芽、愛して、る……っ」  俺、情事の時以外にもちゃんとそういうこと、言えるように頑張るから。  だからずっと、俺だけの彼女でいてくれ。  そう願いながら、腕の中の音芽をギュッとキツく抱きしめると、俺は薄い膜越し、音芽を求めてやまない気持ちを愛の言葉と同時に吐き出した。  頭の片隅で、籐椅子(ラタンチェア)どうやって綺麗にするかな、と思いながら……。     END(2020/07/09〜7/12)
/698ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3102人が本棚に入れています
本棚に追加