スタ特⑥『Eight years later』

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 結婚して1年半ぐらいで、和音(かずね)がお腹に来てくれて……温和(はるまさ)と話し合って、産休・育休を機に、私はフルタイム勤務から非常勤講師になったの。  職種もガラリと変えて、今は元々の勤め先で、音楽――いわゆる専科の先生をやらせて頂いている。  あんなに人前でピアノを弾くことに抵抗があったのに、現在はそれを仕事にしているとか……人生何があるか分からないな、って思う。  先生という仕事は嫌いじゃないし、むしろ大好きだけど、私はそれよりも和音(かずね)と一緒にいる時間を大事にしたかった。  校長先生は子育てが落ち着いたらまたフルタイムで担任とかなさるのもありだと思いますよ?と言ってくださっていて……本当にありがたいなって思う。  ちなみに温和(はるまさ)は今でもバリバリフルタイムで先生をやっています。  今年度は5年2組を受け持っていて、相変わらず学年主任。  私、もちろん温和(はるまさ)の受け持ちクラスにも音楽を教えているけれど、とても和気藹々(わきあいあい)とした明るいクラスだなって思うの。  先生によって、同じ学年の子たちでも年度ごとに雰囲気がガラリと違ってくるのを、自分が担任をしていた頃よりひしひしと感じられる様になったのは、クラスの垣根を越えられる専科の先生ならではかも?って感じていて。  一歩引いた目で児童らを見つめることが出来るから、そのクラスの問題点なども当事者の先生より見えることがあるのも事実。  この経験は、この先和音(かずね)がもっと大きくなって、担任として復帰することになれた時、きっと役に立つって思うの。
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