スタ特⑥『Eight years later』

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 和音(かずね)は赤ちゃんの頃から掛かり付けの小児科医がお兄ちゃんで、そのうえ月に一度はお兄ちゃんのところでほぼ丸1日を過ごすので、物凄く彼に懐いている。 「だってその頃は奏芽(かなめ)お兄ちゃん、髪の毛染めてないもの」  さすがに中学生のあたりまではカナ(にい)も黒髪だった。  でも考えてみれば、そこからはずっと目にも鮮やかな金髪だったわけで。  和音(かずね)が知る鳥飼(とりかい)奏芽(かなめ)という男は、金髪以外のイメージはないんだと思いいたる。 「和音(かずね)奏芽(かなめ)お兄ちゃん、金髪の方が好き?」  って聞いたら、 「うん。金髪の奏芽が」  って即答だった。  かっこいいという言葉に、私は思わず目を(みは)る。  そう思ったら、この子がかたくなにお兄ちゃんのことを「奏芽(かなめ)」呼びするのも気になってしまう。  もしかして……。  いや、でも……、まさか、ねぇ。  だってお兄ちゃん、いくら独身で歳の割に若々しいとは言っても……和音(かずね)にとっては文字通り父親ほども歳の離れた叔父なわけだし――。  ……和音(かずね)、お兄ちゃんとパパが同じ日生まれなの、知ってた……よね?  ふと思いついた考えを、私は「まさかね」という言葉で打ち消した。  でも、その上で、思わずにはいられない。  お兄ちゃーん、お願いだから早くいい女性(ひと)、見つけてくださいっ!って――。
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