3102人が本棚に入れています
本棚に追加
和音は赤ちゃんの頃から掛かり付けの小児科医がお兄ちゃんで、そのうえ月に一度はお兄ちゃんのところでほぼ丸1日を過ごすので、物凄く彼に懐いている。
「だってその頃は奏芽お兄ちゃん、髪の毛染めてないもの」
さすがに中学生のあたりまではカナ兄も黒髪だった。
でも考えてみれば、そこからはずっと目にも鮮やかな金髪だったわけで。
和音が知る鳥飼奏芽という男は、金髪以外のイメージはないんだと思いいたる。
「和音は奏芽お兄ちゃん、金髪の方が好き?」
って聞いたら、
「うん。金髪の奏芽がかっこいい」
って即答だった。
かっこいいという言葉に、私は思わず目を瞠る。
そう思ったら、この子がかたくなにお兄ちゃんのことを「奏芽」呼びするのも気になってしまう。
もしかして……。
いや、でも……、まさか、ねぇ。
だってお兄ちゃん、いくら独身で歳の割に若々しいとは言っても……和音にとっては文字通り父親ほども歳の離れた叔父なわけだし――。
……和音、お兄ちゃんとパパが同じ日生まれなの、知ってた……よね?
ふと思いついた考えを、私は「まさかね」という言葉で打ち消した。
でも、その上で、思わずにはいられない。
お兄ちゃーん、お願いだから早くいい女性、見つけてくださいっ!って――。
最初のコメントを投稿しよう!