スタ特⑥『Eight years later』

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*** 「あ、これ……」  和音(かずね)に呼ばれて覗き込んだアルバムのなかに懐かしい1枚を見つけた私は、思わず冊子を手に取っていた。  写真のなかで、泥水に濡れそぼった私が大泣きをしていて、同じぐらい汚れた姿の温和(はるまさ)が、オロオロとした様子でなぐさめていた。  そして同じフレーム内、1人わりと綺麗な姿で涼しげに澄ましたお兄ちゃんが、数歩引いたところからそんな私たちを眺めているの。  私がちょうど和音(かずね)ぐらいの時の写真だ。  ということは温和(はるまさ)とお兄ちゃんは8歳――小学2年生あたりかな?  服装はお兄ちゃんが黒のタンクトップにジーンズ素材のハーフパンツ。温和(はるまさ)が白のTシャツに7分丈のツイルパンツ。私がパフスリーブのTシャツに、裾にレースがあしらわれたジーンズ素材の短パンで。  雨なんて降っていない、からりとした晴天をバックに、みんな足元は泥だらけの長靴。  前述のように私は下半身を中心に泥水にまみれていて、温和(はるまさ)は上半身がそんな感じ。お兄ちゃんも少しは汚れて入るけれど、私たちほどではなくて――。  このちぐはぐな服装と汚れ方の差。  兄たち2人の“(みぞ)”探検に、無理を言ってついて行った時の写真に違いない。
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