スタ特⑥『Eight years later』

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 大泣きしながら帰ってきた私を、お母さんが慰めてくれたのは覚えている。  その後みんなでお風呂に入ったことも。  でも写真に撮ってたなんて……。  小学生になってこの写真を見た時、薄情なお母さんだと恨めしく思ったのを覚えている。  でも和音(かずね)を産んでから、私も何となくその時の母の気持ちが分かるようになった。  とにかく“残したい”のだ。  可愛い我が子の姿を。  笑っているときはもちろん、泣いている顔も、眠っている顔も、地団駄を踏んで怒っている顔でさえも、みんなみんな可愛くて大切な我が子のかけがえのない瞬間だから。 「ママ、何でこのとき泣いてるの?」  私の視線に気づいた和音(かずね)が、手元を覗き込むように(くだん)の写真を指差して問いかけてくる。  やっぱり、気になるよね。  これ、確かお兄ちゃんたちとほんの少し水の流れる溝を、奏芽(かなめ)(にい)を先頭に、温和(はるまさ)をしんがりにして、3人で一列になって長靴でじゃぶじゃぶ歩いた時の1枚で――。
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