スタ特⑥『Eight years later』

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*** 「だからママはおばあちゃん()のシドが苦手なんだね」  和音(かずね)の言葉に、私はゾクリと身体を震わせる。  実家のハムスターも、初代ドレミ(♀)から2代目ファソラ(♀)を経て、今は3代目のシド(♂)に世代交代している。  ゴールデンハムスターの平均寿命は約3年。  ドレミが3歳と1ヶ月、ファソラが2歳と11ヶ月で天に召されて、今いるシドはもうじき2歳だったかな?  母からハムスターが亡くなったと聞かされるたびに、「次は猫とかにしたら? 寿命も長いし!」と勧めてみるのだけど、今のところ負け続き。  シドは鳥飼家(とりかいけ)初のオスハムで、これまた初の長毛種らしいけれど、そんなのどっちでも構わない。だって毛があろうとなかろうと、中身はネズミだもん。  私は実家に帰った時、極力ハムスターのケージには近づかないようにしているの。 「シドねー、お尻の毛が長いからっておばあちゃん、ハサミでカットしてそろえてるんだって〜!」  毛の長い子にしたのに意味ないよねーと和音(かずね)が笑うのを見て、この子は中身(そういうところ)温和(はるまさ)に似たのかな?って思った。  いや、別にネズミが好きか嫌いかだけで判断するのはおかしいと分かっているけれど、そこだけは私の血じゃないと信じたいの。  そのくらい私、ネズミだけは苦手です。  和音(かずね)が実家の影響でハムスターを飼いたいとか言い出したら、私、温和(はるまさ)にお願いして猫か犬を猛烈にプッシュする所存です!  もう、その際はよもや温和(はるまさ)から「協力する代わりに……」ってエッチなことを要求されても、少しくらいなら善処しますっ。
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