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episode2『兄のお陰で、兄のせい』
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毎月月末頃になると、お兄ちゃんからメッセージが届く。
来月はこの日とこの日なら大丈夫、的なメッセージ。
何が大丈夫かって言うとね、和音を預かれるぞって意味なわけで。
基本的に木曜と日曜・祝日はお休みの『鳥飼小児科医院』なので、お兄ちゃんの「大丈夫」の日も、大体そのあたりに集中しています。
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「ね、温和、来月はココとココならOKだってお兄ちゃんが」
仕事から帰ってきた温和の荷物を受け取りながら、8月のカレンダーを指差したら、「じゃあさ、折角だし8日に頼もうか?」って言葉とともに、頬に軽くキスを落とされた。
8月8日――。
まさに結婚記念日当日だ。
今回で8回目。
8ばかり並んでいて、何だか末広がりの予感!
温和からのキスにほわん、となりながらそんな取り止めのないことを考える私を横目に、
「あー、ママだけずるい! 和音も! 和音も!」
温和から私へのキスに気付いた和音が、父親の足にギュッとしがみ付いて、自分のほっぺを人差し指でつついた。
「和音、来月も奏芽ん所で留守番できるか?」
温和が、そう言いながらしゃがみ込んで、和音の柔らかな頬にキスを落とす。それを見て、ヤキモチを妬いたりせず、微笑ましく思えるくらいには、私、ちゃんとお母さんができています。
温和は本当にとびきり素敵な夫で、とっても素敵なお父さんだ。
結婚して8年になるけれど、私、1日だって彼にときめかない日はないの。
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