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「もちろん! 何ならお泊りだって!」
和音がにっこり笑うのを見て、温和が即座に「泊りはダメだ」って却下をする。
そんな、子供が言うことを真に受けなくても……。
そう思いながらも、温和も、娘のお兄ちゃんへの気持ちに気付いているんだろうなぁと思った。
***
温和は和音の前だと、ふたりきりの時ほどくっ付いてはこない。でも、だからと言って決して私を邪険にしたりもしないの。
「和音もとってもとっても大事なパパの娘だよ。でもね、俺にとって、ダントツの一番はいつだってママなんだ」
恥ずかしげもなく和音にそんなことを言って、「だから俺の音芽を泣かせたりしたら、例え和音でもパパ、許さないよ?」とか……恥ずかしいのでやめてください。
最初は子供相手に何を大人げのないことを、って思っていたのだけれど、どうやらこの「ママ至上主義宣言」、当の和音には割と受け入れやすかったみたいで。
気が付いたら、「和音もパパみたいな人と結婚したい!」って言うようになっていた。
和音が言う、この「パパみたいな人」っていうのは、別に「パパと結婚したいっていう意味」じゃないんだと気が付いたのは、いつのことだっただろう。
彼女の言う「パパのような人」は、「和音のことを一番だと言ってくれる人」みたい――。
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