スタ特⑥『Eight years later』

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奏芽(かなめ)女の子たちの中で、和音(かずね)がダントツで一番可愛いよってっ! 和音(かずね)奏芽(かなめ)が一番かっこいいと思ってるし! ねぇママ、これってうんめーでしょう!?」  ちょっ、お兄ちゃん、何言ってくれてるの! ***  その日の夜――。  私はお兄ちゃんの仕事が終わった頃――和音(かずね)温和(パパ)とお風呂に入っている隙に兄に電話をかけた。  コール数回で『どした? 珍しいじゃん、お前から俺に電話とか』って呆気らかんとした声音でお兄ちゃんが応答する。 「用がなきゃかけないわよっ。お兄ちゃん、お願いだから和音(かずね)に気を持たせるようなこと、言わないで!」  温和(はるまさ)和音(かずね)もそんなに長湯をする方じゃない。  単刀直入にズバッ!と用件を切り出したら『は? なんだよ、それ』って低温ボイスが返る。  お兄ちゃんの声、妹の私が聞いてもこんなふうに電話だとゾクッとくるいい声で、私はあまりお兄ちゃんと電話で話すのが得意ではない。  一瞬お兄ちゃんのいい声(イケボ)にひるみそうになって、ブンブンと首を振ってリセットする。  首を振ったらおさげが頬にペチンと当たって、背筋がビシッと伸びる気がした。
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