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う~ん。やっぱりぴんと来ない――。
だって。
「兄は……私に対してはただひたすらに意地悪だった記憶しかないんです……」
恐る恐るそう言ったら、「鳥飼は愛情表現が下手だからな」って……。
そこで雨宮さんは苦笑まじりに温和を見ると、「まぁそれは霧島も同じだったか」と付け加えていらして。
後半は納得しつつも、やはり前半は嘘でしょ?と思ってしまう。
お兄ちゃん、あんなに好き勝手やる人なのに?
私を前にすると嫌がらせばかりしてきてたお兄ちゃんが、私を陰でいつも守ってくれていたって……本当の話ですか?
温和が、「俺の件はともかく……奏芽に関しては俺と奏芽、結構いいコンビだったんだから、間違いねぇって保証してやるよ」って言うんだけど……うーん。
そもそも、2人は私を“何から”守ってくれていたのかしら? 学生生活ってそんなに危険に溢れてた?
さっぱり分からないのです。
眉根を寄せる私を見て、雨宮さんが、「音芽ちゃん、男どもの間で“鳥飼妹は可愛いのにガードが甘めで狙いやすそう”って有名だったの、知らないだろ? そんななのに悪い虫に悪戯されなかったのはさ、鳥飼と霧島のおかげだって断言してやるよ」とつぶやいた。
悪い虫――。
うー。私、鈍感だという自覚はあったけど……それに加えてそんなに隙だらけだったの?
眉根を寄せる私に、「男の前で転んでパンツ見せるような女、隙だらけに決まってんだろ」とかっ!
パンダちゃん事件はいい加減忘れてくださいっ! さすがにもうあのショーツはないんだし!
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