オトメは温和に愛されたい

スタ特⑥『Eight years later』

　彼女は、白のカットソーに、淡いラベンダー色の、ミモレ丈のサーキュラースカートを履いていた。なんていうか、とっても清楚な感じ。

　どう見ても、身体のラインがくっきり見えるミニスカートに、香水の香りがプンプンするような、今までお兄ちゃんが付き合ってきた歴代の女性たちのタイプとは一線を画している。

　お兄ちゃん、女の子の趣味、変わったのかしら。

　凜子(りんこ)さんは、どちらかというと――地味なタイプに見える。
　でも、さすが沢山の女性たちと遊んできた目の肥えたお兄ちゃんというべきかしら。化粧っ気はほとんどないけれど、凜子さんがかなりの美人さんだというのは私にも分かる。

　そんなことを思いながらお兄ちゃんをちらりと窺い見たら、ニヤリとされた。

「な、俺の彼女、すげぇ美人で可愛いだろ」

　一瞬私、時間が止まってしまったかと思った。

　お兄ちゃんから、今までにも歴代の彼女たちを何度か紹介されたことあるけれど、彼の口から「可愛い」とか、そういう彼女を褒めるセリフなんて、一度だって聞いたことがなかったから。