スタ特⑥『Eight years later』

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--------------------- episode4『開けて通すとか通さないとか』 --------------------- 「そんなわけでね、私、髪の毛切ろうと思って」  お砂糖を買って家に帰ると、私があまりにも遅かったからと、温和(はるまさ)が心配して和音(かずね)と一緒に私を捜索に出ようとしているところだった。  玄関で鉢合わせになって、驚いた私は、 「もぉ、心配しすぎ! 三十路(みそじ)を越えたこんな子持ちの私に興味を持つ男の人なんていないから大丈夫よ?」  そう言って笑ったら、「俺はそんなお前が、どんな異性(おんな)より魅力的に見えんだけど?」ってムスッとされた。  か、和音(かずね)の前でまたそんなっ。  恥ずかしくてソワソワする私を横目に、和音(かずね)は父親のそういう言動に慣れっこなのか、全然気にした風はなくて。  それよりも――。 「ママ、凜子さん(あのひと)に会ったの?」  って……。  どうやらそっちの方に興味があるようです! 「うん。すごく可愛らしい女性(ひと)だったよ」  凜子さん(ライバル)を褒めたら怒るかなって思ったんだけど、和音(かずね)は一瞬ツンと唇を尖らせてから「そう、くやしいけどあの人、すっごく美人なのよ。――奏芽(かなめ)、趣味いいから」とか。  あら、和音(かずね)凜子(りんこ)さんのこと、綺麗な人だって認めてるのね。  そう思いつつ。
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